執筆者紹介

鈴木 萌果
EMCカンパニー EMC推進室 マーケティング&コミュニケーショングループ
2015年にメンバーズへ新卒入社。ソーシャルメディア運用・広告ディレクション業務を経験し、現在はEMCカンパニーの広報・マーケティングを担当。社内のサービス・取り組みを発信する『EMCライター』という社内唯一の職務をせっせと遂行中!
EMCカンパニーの広報・もえかが、社内外で耳にする疑問やナゾをキーマンたちへのインタビューを通じて解き明かすシリーズ「教えて!メンバーズ」の第3弾です。
今回は、メンバーズの「モノづくり」といえばこのお二人!メンバーズのEMCカンパニーで開発支援を推進する生駒さんと、アジャイルに特化したチーム型システム開発事業を行うメンバーズエッジカンパニーのカンパニー社長である塚本さんに、DXを推進するうえで大切な「体制構築」と「アジャイル開発」についてお話を伺いました。
生駒:必ずしもこのように進むとは限りませんが、DXの全体像をまとめてみました。「デジタイゼーション」と言われる既存システムのクラウド移行や、既存業務のデジタル化はDXではないという考え方もありますが、メンバーズでは「守りのIT」「攻めのIT」どちらも両輪で回し、デジタルを活用してビジネスを変革、前進させていく活動全体がDXと考えています。
生駒:顧客企業のなかから10社以上にヒアリングした結果、完全内製チームとまでではないものの、DXの推進が進んでいる企業ほど「内製志向」になってきています。ヒアリングから見えたDXの取り組み傾向
生駒:まず、作って終わりではなく、継続開発が可能になる点があげられます。プロダクトはリリースがゴールではなく、成果を出していくために環境変化に合わせたブラッシュアップが必要不可欠です。
しかし、体制として受け皿がないと運用しきれず「作って終わり」の状態を生んでしまいます。また、外部開発に依存しすぎると、リリースまで時間を要してしまいその間の変化に耐えきれないといったリスクが出てくるんです。逆に意思決定者を開発チーム内におくなど内製型の体制がきちんと構築されていれば、細かい単位で軌道修正が可能です。
また、1つのプロダクトを作って終わりではなく、別のプロジェクトへ再現性高く応用することも競争優位を作るうえで重要ですが、体制があれば組織内にノウハウが蓄積しやすいというメリットもあります。
塚本:実はそうとも言い切れないんです。多くの事業会社で、IT人材の採用や育成を始めているものの、難航しているのが実状です。市場全体でIT人材が不足し、IT人材が採用できたとしても事業会社内でキャリアアップを考えるのが難しいといった課題があります。せっかく採用しても、プロダクトをリリースしたら離職してしまう・・・なんてことが十分にあり得るのです。
それから、完全内製チームを作ったとしても、常にモダンな技術を取り入れ続ける必要があり社内メンバーだけでは限界があるという課題もあるんですよね。
塚本:採用面や専門性/先進性のある技術を取り入れることを考えると、外注と良いパートナー関係を築いて安定したリソースを得ながら、「内製志向」のチームをつくることが選択肢の1つだと僕は考えています。
まずは、分からないところをすべて丸投げするのではなく、事業会社内でやる範囲・パートナーに任せる範囲を、リソースなどを加味して決めることから始めましょう。関西出身のお二人。息ぴったりに、内製と外注のバランスを語ってくれました。
生駒:企業によって、さまざまな課題からDX推進が滞っていることがわかりました。そして、プロダクト開発における課題が3つのタイプに分類されることも見えてきました。
外注型志向が強い企業の場合は、少しでも内製型にシフトする対応が必要です。また「何からしたらいいのかわからない」といった部分を与件化する作業も進めていきましょう。
従来までは、与件が決まった後の実行フェーズの支援が主でしたが、「あたかも社員支援」では課題調査などのインプットから体制構築までをサポートします。また、弊社の管理職レイヤーで活躍する人材が企業の社員さまと同等のコミットメントで業務に従事し、DXを進めていくために何が必要なのかを与件化します。
キーマンに仕事が集中するゆえに開発進捗が滞ってしまう場合は、内部開発をスムーズに進めることができ、ノウハウの伝承ができる体制をつくる必要があります。
メンバーズからのご提案:PDM/PO支援
専門知識・スキルをもったスタッフが、顧客企業のPDM/POの補佐役としてチーム型で支援します。PDM/POは下記の図の通り、求められる役割の範囲が多岐にわたります。そこで、事業の3要素である「BTC(ビジネス・テクノロジー・クリエイティビティ)」をPDM/PO補佐・UX/UIデザイナー・テックリード/エンジニアといった各スタッフがそれぞれに補いながら専任チームを作り、ご支援します。
「BTCモデル」は、勢いのあるベンチャー企業でも取り入れられ、彼らもビジネス・テクノロジー・クリエイティビティの3領域を網羅するメンバーをそろえて開発を進めています。
生駒:大手製造業さまの新規事業におけるアプリ開発をご支援した実績があります。POを補佐するスタッフと、UX/UIデザインチーム、アジャイル開発チームが合同となってご支援しました。ユーザー調査からビジュアルやインターフェース設計・開発までを一気通貫で行いました。もともとは開発チームのみが支援していたのですが、お話をうかがうとPOへの負荷が非常に大きい状況だったので、PO補佐とUXデザイナーをご提供し、施策の優先順位づけなどをした上で開発チームと連携していくようにしました
専門リソースが不足している場合は、専門リソースの定着化と同時に定期的に体制を入れ替えて、モダンな技術を常に取り入れられる体制づくりが必要です。
チーム伴走型で、デザイン・テクノロジー・マーケティング施策の開発実行支援をします。弊社のカンパニーであるアジャイル開発に特化したメンバーズエッジはもちろん、その他のカンパニーサービスを組み合わせてご支援が可能です。
塚本:アジャイル開発には様々な手法がありますが、「スクラム」手法が一般的です。下記の図が一般的なロールですが、POが開発の優先順位を決めて、開発者※が決められた期間の中で作っていきます。そして、スクラムマスターと呼ばれるメンバーが、チームの課題を解決するように働きかけてチームの成熟を支援します。※2020年11月のスクラムガイド改訂に伴い、「開発チーム」は「開発者」という用語に変更になりました
塚本:「守りのIT」と言われる既存システムのクラウド移行や、既存業務のデジタル化では、ウォーターフォール型との親和性が高いですが、「攻めのIT」を推進するには、環境変化への柔軟・迅速な対応が求められ、アジャイル型開発との親和性が高いと言われています。
では、ここで問題です!システム開発やアプリ開発をする際に、何を見積もりますか?
塚本:そうですね、守りのITでは「要求」が明確に定まっていたので、その実現に向けて「コスト」や「期限」を決めていました。しかし、攻めのITをする際は、「要求」は非常に曖昧です。なので、「コスト」や「期間」を固定して、その範囲で価値の最大化を目指すために何をしていくかを考える「価値駆動」開発が適しているのです。この「価値駆動」開発を実現するために適した手法の1つが「アジャイル開発」なのです。
塚本:確かに、アジャイルはややルーズな印象を持たれがちです。この「アジャイルソフトウェア開発宣言」の影響で、誤解されることも多いんです。
声を大にして伝えたいのが、あくまで下の図の青文字部分より、赤文字部分に価値をおいているだけで、ドキュメントを一切書かず動くものしか作らないワケではありません。うちのチームメンバーはドキュメントをちゃんと書いていますので、ご安心ください(笑)
生駒:メンバーズは長らくクライアントさまのWeb運用に寄り添ってきました。顧客企業の目標達成に伴走してきた実績があるからこそ、戦略を描くことに加え、時には社員さんの右腕として、時には部署間のご調整役として、臨機応変にサポートできる点が強みだと思います。
塚本:メンバーズは、全国どこでも同一条件で活躍できるリモートワーク環境を採用したり、IT人材が枯渇する中で新卒社員をきちんと育成できる教育体制を整えるなど、クリエイターを大切にする会社です。そういった点が、優秀な人材が集まる要因ですし、優秀な人材をチームとしてご提供できる強みにもつながっていると思います。メンバーズでもっとBTCモデルをつくりたいと語る生駒さん
AIやIoT等の先端領域事例を増やしたいと語る塚本さん。野望は尽きません…!
生駒さん・塚本さん、ありがとうございました!
<編集後記>
「教えて!メンバーズ」の第3弾は、開発まわりのお話を伺いました。シリーズ初の対談形式だったのですが、プライベートでも一緒にアウトドアを楽しむというお二人だからこそ、息ぴったりといった印象でした。嬉しいことにシリーズ第1弾・第2弾の反響がよく、社内でも楽しく読んでいただけているようで励みになります。次回は、MAについてのインタビューを企画していますので、お楽しみに!
※この記事は2022年以前にメンバーズコラムに掲載していた記事のアーカイブです。
鈴木 萌果
EMCカンパニー EMC推進室 マーケティング&コミュニケーショングループ
2015年にメンバーズへ新卒入社。ソーシャルメディア運用・広告ディレクション業務を経験し、現在はEMCカンパニーの広報・マーケティングを担当。社内のサービス・取り組みを発信する『EMCライター』という社内唯一の職務をせっせと遂行中!