執筆者紹介
株式会社メンバーズ
「“MEMBERSHIP”で、心豊かな社会を創る」を掲げ、DX現場支援で顧客と共に社会変革をリードする、株式会社メンバーズです。

「PMO輩出1,000人への道」と銘打って続けてきたこの連載ですが、おかげさまで2025年12月末に、累計1,000人を突破することができました。
DX推進の鍵となるPMO人材輩出数が1,000人を突破。3カ年計画の最終目標を15カ月前倒し、当初目標人数の約2.6倍を達成
プロジェクトを開始してからの約1年9ヵ月で達成となりましたが、改めて協力いただいた社内の関係者やカリキュラムにご協力頂いている企業・大学関係の皆さま、そして何より、積極的に習得に取り組むメンバーズ社員とその発揮の機会を日々頂いているお取引先さまにこの場を借りてお礼を述べたいと思います。ありがとうございます。
さて、過去3回の連載記事では主に私たちのDXPMO育成の取り組みについて、パートナー企業の方も交えながら、その特徴やポイントをお伝えしてきました。
DX内製化の鍵は「PMO人材」にあり!18ヵ月で700人超のPMOを輩出したメンバーズ流育成術を公開
青山学院大学ADPISA×メンバーズが描く日本流DX内製化の在り方と人材育成
DX人材の変化適応力はどう鍛える?メンバーズ×コパイロツトが語る「会議」から始めるPMO育成
今回からは、実際にDX現場の最前線で活躍するメンバーズのトップPMOたちに登場してもらい、その仕事内容や発揮しているスキルや取り組みの姿勢などについて語ってもらいます。
「仕組みはわかった。でも、実際に現場では使えるの?」「優秀なPMO人材は増えているの?」これらの疑問に答えるとともに、メンバーズのDX現場支援の特徴や強み、今DXの現場では何が求められているのか?現場の声を聞いてみましょう。
株式会社メンバーズ
ディーエックスコンパスカンパニー シニアPMO 島田 未来
人事系コンサルティングファーム、デジタルマーケ支援企業、不動産スタートアップ支援企業を経て2022年にメンバーズ入社。入社後は建設業界において、DX戦略の基本方針策定、重点施策ポートフォリオの設計、実行ロードマップの企画・策定、ならびに推進体制(ガバナンス/KPI/意思決定プロセス)の構築・運用を支援。2023年8月以降は、ToC向けマーケティングの高度化をテーマに、施策の効果検証設計・業務プロセス整理・運用ルール整備を軸に、現場実装まで落とし込むPMOとして伴走支援。

株式会社メンバーズ
ディーエックスコンパスカンパニー PMO 野中 優衣
2023年新卒でメンバーズに入社以降、お客さま企業に常駐し、PMOとして各プロジェクトの推進を担当。デザインシステム改修、CRM改善、データ利活用、AI導入推進、マーケティング企画など幅広いジャンルにて伴走支援中。煩雑な状況に柔軟に対応しロジカルに整理することで、プロジェクトを着実に前進させることが得意。
株式会社メンバーズ
専務執行役員 デジタルサービス開発本部長 神尾 武志
テレビ番組制作会社、モバイルサイト制作会社勤務を経て2011年にメンバーズ入社。メンバーズ入社後は、金融会社のサイト運営統括・リニューアルを担当し、アカウント事業部門の部門長職を経て、小売SPA企業のデジタル推進の担当責任者などを歴任。2016年10月に執行役員に就任。2023年4月よりデジタルサービス開発部門の本部長を兼任。2024年4月に常務執行役員、2025年4月に専務執行役員、「メンバーズ ディーエックスコンパスカンパニー」のカンパニー社長に就任。
神尾
まずは、島田さんの現在の業務内容について教えてください。
島田
現在は、某企業さまにマーケティング支援をしています。その企業には30を超える多くのサービスがあるのですが、各サービス担当者が考えるマーケティング施策に対してアドバイスや示唆出しをおこない、実際に進めるかどうか意思決定支援をしています。
神尾
かなり難易度の高そうな領域ですね。最初から現在のような役割を担っていたのですか?
島田
いえ、当初は「会議に参加して内容を把握し、それを周囲に翻訳して伝える」という調整役としての動きを期待されていたと思います。しかし実際現場に入ってみると、施策の「目的」や「得たい成果」のロジックが詰めきれていなかったり、前例のない施策ゆえに効果検証の定義ができず、プロジェクトが停滞する現状が見えてきました。
そこで私は、単に評論家のような立場でフィードバックするのではなく、一歩踏み込んで関与することにしたんです。「それなら、私のほうで資料を作り直してみますね。」と提案し、作業を巻き取ることでプロジェクトを推進するよう心がけました。
神尾
自分で考え、手を動かしていったわけですね。
島田
はい。そうした動きを続けるうちに、単に個別のプロジェクトを支援するだけではなく、成功パターンを型化して再現性を高める仕組みづくりにも着手するようになりました。そうした成果の積み重ねが評価され、単なる調整役から現在のポジションへと役割が拡大していったのです。
神尾
具体的にはどのような課題解決をしたのでしょうか?
島田
例えば、テレビCMの効果検証などは分かりやすい例だと思います。テレビCMを放映して「認知が5%上がりました」と言っても、それが事業にどう貢献したのか誰も説明できず、ブラックボックスになっていました。
そこで「認知が上がればUGC(口コミ)が増え、SNSや検索経由の流入がこれだけ増えるはずだ」というロジックを組み上げ、アトリビューション分析も含めて「最終的にこれだけの成果につながっている」という構造を可視化しました。
神尾
それもまた難しそうな話ですね。過去に似たようなプロジェクトの経験があったのですか?
島田
いえ、ありません(笑)。マーケティングやDXの領域は誰もやったことがないものばかりで「正解」がないことが多い。みんな答えを知りたがりますが、そんなものはありません。だから「答えのない問い」に対して、妥当性の高いプロセスと仮説を提示することがDX推進の伴走者であるPMOの価値だと思っています。
神尾
そうは言っても簡単なことではないと思います。ハードルは感じなかったのですか?
島田
もちろん簡単ではありませんでした。特にこのテレビ広告のときは本当に難しかったけど、やるしかない。徹底的に考えて「Aという前提ならBになるはずだ」という仮説思考を繰り返す内に、なんとか答えにたどりつくことができました。
あと、自分の長所に、なんでも楽しめるところがあります。気分的に追い詰められてもそんな状況を笑いに変えてしまおうというマインドで乗り切りました。
神尾
素晴らしいです。島田さん個人はもちろんのこと、メンバーズの強みはどう考えていますか?
島田
DX支援の重要性が現場レベルまで浸透しつつある今、実行・運用のポジションを極めてきたメンバーズの戦略は間違いではなかったと感じています。あとは、多様なデジタル領域のカンパニーがあることでしょうか。私のようなPMOが戦略工程で信頼を勝ち得た後には、基本的には実行フェーズになるので、そこでお客さまのニーズに応えられるのは大きいと思います。
神尾
なるほど。戦略と実行の間をPMOがつなぎ、実行になれば顧客の課題に適したクリエイターが登場する。理想的なDX現場支援の形だと思います。
神尾
最後の質問です。AIによってさらに「答えのない」時代・状況になってきていると思います。AI時代のPMOに求められるものは何だと思いますか?
島田
AIを個人が使いこなせれば良いという時代は終わりつつあると思っています。これからは組織が業務にどうAIを組み込むことができるか、という競争になると思います。そうなるとAIを前提とした業務設計が必要です。それには「言語化して明文化できる力」と「構造化スキル」を持つことが重要だと考えています。
AIは指示が曖昧だと動きません。人間が全体を見渡して意味づけをおこなう必要があります。また、既存の知識をつなぎ合わせて、まだ世にない仮説(未知の情報)を作り出す力、つまり「仮説思考」を磨くことが、これからのDX現場を変える力になると信じています。
それらのスキルをさらに磨いて、AI前提の業務を構想できる人材になりたいです。
神尾
野中さんは今、広範囲なプロジェクトを担当されているそうですね。
野中
はい。某企業さまで、デジタル戦略の推進を担当しています。具体的には、ロイヤルティプログラムの改善や、事業での外部データやAI活用推進による顧客分析の高度化などですね。システムの要件定義というよりは、ビジネス戦略やマーケティングに近い領域で、プロジェクト全体を前に進める「事業PMO」としての役割を担っています。
神尾
関わるステークホルダーも多いですか?
野中
多いですね(笑)。中心となるのは5部署くらいですが、そこに他社のベンダーさんが3〜4社入りますし、経営層への説明もあれば、現場の運用スタッフ、さらには海外のシステムベンダーとの調整もあります。私に期待されているのは、何か特定の領域にものすごく詳しい専門家というよりは、こうしたさまざまな専門家たちをつないで、それぞれの部署が理解できるようにまとめ上げ、実現まで持っていく「推進力」だと思っています。
神尾
一番苦労されている点はどこですか?
野中
色々なステークホルダーがそれぞれ持つ「正しさ」や「言葉」が違うことです。例えば「日本市場ではこれが最適」と提案しても、本国の担当者には全く違う解釈をされてしまうこともあります。日本国内でも部門が違えば、それぞれが見ている視点や使っている言葉がちょっとずつ違っていると思うので、そこを理解することが大事だと思っています。
神尾
なかなか大変そうですね。それでもプロジェクトを前に進められる秘訣は何でしょうか?
野中
それぞれの立場やそこから生まれる文脈(コンテキスト)の違いを把握して、理解を積み上げていくことが大事だと考えています。例えば、重要な会議で決裁者の方に承認を得る必要がある場合は、事前の打ち合わせで懸念点や着眼点を把握し、それを資料に反映して臨むことをしています。
こういったアクションを踏まえると、前提を合わせること、正しく伝えるための情報の可視化を重視しているかもしれません。
神尾
お客さま側の組織において重要な役割を担っているのですね。これまでの成果で、特にお客さまから評価されたものにはどのようなものがありますか?
野中
CRM施策のなかでロイヤルティプログラムの見直しを図るプロジェクトがあったのですが、前年比百数十%以上の売上への貢献という数字を出すことができました。もちろん私1人の成果ではありませんし、戦略部分は他のベンダーさんが考えたものでしたが、施策の仮説を立てたり、各種調整を行って関係者を巻き込みながら実行にこぎつけることができたので、評価されたのだと思います。
神尾
コンサルティング会社など、他のパートナー企業との違いを意識することはありますか?
野中
戦略策定を専門とされる企業さまも多いなかで、我々は実行フェーズに強みを持つからこそ、現場の解像度が異なると感じます。私は常駐して毎日現場の方と顔を合わせているので、「実際はここでお金が動いている」「キーマンはあの人だ」といった文脈を理解しています。だからこそ、何か違和感があったときにすぐに修正できたり、逆にお客さまからも「それ違うんじゃない?」と気軽に言ってもらえたりする。
お客さまから「野中さんは社員よりも社員らしいね」と言っていただけることもあります。メンバーズ社員のコンセプトとしている「あたかも社員®」のような当事者意識を持ち、組織の隙間を埋めながら動くことで、社員の方だけでは突破できない壁をブレイクスルーして、戦略から実行につながる道を作ることができます。
ここに、私たちメンバーズの価値があると思っています。
※「あたかも社員®」あたかも社員®は当社の登録商標です。あたかも社員(登録商標第6923667号)
神尾
素晴らしいですね。ちなみに野中さんは未経験の領域でも、どんどん吸収していくイメージがあります。
野中
そもそも今の案件も、最初はほぼ知識ゼロからのスタートでした。「何でも勉強します!」という姿勢で飛び込んで、分からない単語はその場ですぐ調べてまた聞いて、ということを繰り返していました。また、出入りされているベンダーさんが開催されるセミナーや勉強会にも積極的に参加していました。
メンバーズのSINCAプログラム「ビジネス変革スキル」は、特に案件の初期段階でとても役立ちました。業務の全体像を把握し、プロセスやデータを構造的に分解する方法論の理解に有益でした。DXの領域は変化が速いので、新しいことを恐れずにキャッチアップし続ける姿勢だけは、誰よりも大事にしています。
神尾
メンバーズの育成プログラムが役に立ってよかったです。今後の抱負について教えてください。
野中
PMOという職種の役割やイメージは広範ですが、私の現在の業務内容や、やり方、そして生んでいる価値はPMOの一つの形だと思っています。もっとPMOが広まって「PMOになりたい」と思ってくれる人が少しでも増えてくれると嬉しいです。
2人に共通していたのは、
・顧客以上に顧客の社員視点を持ち
・絵を描くだけでなく、現場の高い解像度を持って、戦略を実行につなげる
・そのために、常に正解はないことを前提に、考え・学び続ける
という姿勢でした。そして、これらの姿勢を支えるものとして、以前紹介したビジネス変革スキルなどが活用されていました。今回紹介したようなトップPMOをさらに輩出し、DXを通じて顧客、および社会課題を解決していくことに引き続き尽力していきます。
メンバーズではDXの専門性とビジネスアーキテクトのスキルを兼ね備えたPMO人材が、取引先企業のDXプロジェクトにおける成果創出に貢献します。
DXの推進にご関心をお持ちの方は、「PMO支援サービス」を提供しておりますので、ぜひご覧ください。
株式会社メンバーズ
「“MEMBERSHIP”で、心豊かな社会を創る」を掲げ、DX現場支援で顧客と共に社会変革をリードする、株式会社メンバーズです。