みずほ銀行さま

デジタルマーケティング運営支援(EMC)、CSV活動支援

様々な関係者や部署のハブとなり、パートナーとして共に企画を考える

メンバーズは、「不正送金被害をゼロに。」をテーマとした、みずほ銀行さまの社会課題解決型のマーケティング施策を2018年から支援しています。昨今サイバー犯罪による被害が深刻な社会課題となる中、今回実施した「セキュリティ自己診断」の施策の意図や今後の展望などをお伺いしました。

インタビュー左から
株式会社みずほフィナンシャルグループ セキュリティ&データマネジメント部
八子 浩之氏
株式会社みずほ銀行 個人マーケティング推進部 デジタルチャネルチーム
柳田 直輝氏
熊谷 尭子氏
金井 俊哉氏
竹内 司氏
株式会社みずほフィナンシャルグループ セキュリティ&データマネジメント部
幸田 和貴氏

株式会社メンバーズ
EMCカンパニー BU1-3
田村 唯香
熊本 祐馬

銀行からの一方的なメッセージではなく、お客さまに寄り添う診断コンテンツを提供

以前から「不正送金被害をゼロに。」という、社会課題解決を訴求するマーケティング施策を実施しています。今回は、インターネットバンキングを利用するお客さまにもセキュリティ対策意識の啓発を高めていただくコンテンツを提供しています。こうした取り組みを行う意義や施策立案の経緯をお聞かせください。

竹内氏:これまでは、「不正送金被害をゼロに。」を目標に、ワンタイムパスワードの利用促進を目的に取り組んできました。しかし、最近では、フィッシングによる被害も増え、その手口も巧妙になっています。フィッシングによる被害をなくすためには、これまで以上に、お客さまへの告知や啓発が重要となります。
一方で、銀行からお客さまへ従来通りの注意喚起をしても、その情報をなかなか見ていただけないという課題がありました。そうした経緯で考えたのが今回の「かんたんセキュリティ自己診断」となります。

かんたん自己セキュリティ診断

みずほ銀行 「かんたんセキュリティ自己診断」Webサイトより

竹内氏:お客さま自らが、「どう行動するのが正しいのか?」「どのような危険性があるのか?」を簡単なQA形式で確認することが可能となっています。診断コンテンツ作成には、実際の犯罪で使われた画面イメージや文言を使用しリアルなものにしています。
多くのお客さまに関心を持っていただくことで、自己診断をしたお客さまには、たとえば、フィッシングの場面に遭遇した際に、「この画面をどこかで見たことがある!もしかして怪しいのでは…」と思っていただければと考えています。

お客さまご自身がセキュリティへの関心を高めることはとても重要です。そうした観点から、今回の施策で考慮したポイントを教えていただけますか?

熊谷氏:今回は、診断結果を判定することで、お客さまご自身のセキュリティレベルを自らが知ることができ、誤った認識をしていた場合は、その解決策を示す内容としています。
また、銀行からの一方的なメッセージではなく、キャラクターを活用して親しみやすく、お客さまの日常の視点に寄り添う診断コンテンツを提供しました。

インタビューの様子1

外部連携による診断コンテンツ作成とプロジェクト告知により大きな成果を上げる

現時点での具体的な診断数やその数に対する評価はいかがですか?

竹内氏:公開から3カ月程度で、約2万件以上の診断が行われています。Webサイトを訪問したお客さまの約半数が診断に参加していただいていますが、非常に多いと感じています。
設問による正答率のバラつきを把握することにより、お客さまのセキュリティ強化のポイントも把握することができました。

八子氏:これまで、セキュリティに関するコンテンツは、お客さまになかなか見ていただく機会も少なく苦労していました。多くのアクセスがあったことに驚いています。

多くのお客さまがアクセスし診断に参加している要因はどのようにお考えですか?

竹内氏:今回の診断コンテンツ作成にあたっては、一般財団法人 日本サイバー犯罪対策センター(以下、JC3)さまに監修をいただいています。私たちのメルマガなどでの告知に加えて、JC3さまからも紹介いただきました。また、サイバーセキュリティ月間の時期に合わせて実施したことで、内閣サイバーセキュリティセンターのWebサイトでも私たちの取り組みが紹介されました。第三者の方々のご支援によって、今回の取り組みが皆さんの目に触れる機会が増えたことが要因の1つにあげられます。

熊谷氏:利用者のアカウントやWebサイトへの不正アクセスなど、サイバーセキュリティに関するニュースが増え、お客さまの関心も高まっていたこと、そして、私たちのメルマガで診断内容の設問の一部を紹介したことで、多くのお客さまに興味を持っていただきました。
また、JC3さまと協力し設問や診断内容を作りこんだことで、お客さまに多くの気付きを提供できたと感じています。そうしたことが、多くのお客さまに最後まで参加していただいた要因と考えています。

幸田氏:サイバーセキュリティ問題は、ニュース番組やワイドショーなどでもとりあげる機会が増えてきています。お客さまのセキュリティに関する関心は、確実に高まっていると感じています。しかしセキュリティという言葉を聞くとどうしても苦手意識を感じてしまう方は多いと思いますので、まずはお客さまに興味を持ってもらうことが何よりも重要であると考えています。

セキュリティ自己診断の回答結果は、どのような印象ですか?

竹内氏:「パスワードの管理方法」や、「スマートフォンへのパスワードの保存方法」に関する設問の正答率が低かったことが把握できました。特に、様々なサイトで同じパスワードを使い回すことによりパスワード等の漏洩の危険性が高まることへの理解が低かったことは特徴的でした。

八子氏:パスワードの管理方法に関しては、「様々なサイトで同じパスワードを使い回す」ことが昨今の課題となっており、今回の取り組みを通じて、一人でも多くのお客さまに「サイト毎に異なるパスワードを設定」いただければと思っております。

幸田氏:パスワードの管理方法は、以前であれば「こまめにパスワードを変更」することが正解であったと思います。しかし、こまめにパスワードを変更しても、複数のサービスで同じパスワードを使い回していれば、被害に遭う可能性が高くなります。現在は、複雑なパスワードをサービスごとに使い分けることが世界で推奨されています。

インターネットを利用する全ての生活者を守るため、診断結果の情報発信を計画

お客さまへの注意喚起のポイントを理解できたことで、今後の告知内容にも活かすことできそうです。

熊谷氏:今後は、診断結果をインフォグラフィックで表現し、視覚的にも分かりやすく伝えることを計画しています。また、お客さまがより注意すべきポイントなども伝えていきたいと思います。
それらの情報は、みずほ銀行のお客さまを守ることだけではなく、インターネットを利用する全ての生活者を守ることになりますので積極的に進めていきます。そうした取り組みは、銀行としての社会貢献につながるものと考えています。

そうした情報を広く発信することは、まさに公共性の高い銀行だからこそ取り組むべき内容です。メンバーズは、「不正送金被害をゼロに。」のプロジェクトに以前からご一緒させていただいています。メンバーズに対する評価や今後の期待などをお聞かせください。

熊谷氏:今回のプロジェクトはコロナ禍により、具体的なプランニングから実行までかなりタイトなスケジュールとなりました。しかし、クオリティを担保しながらスピーディーに、また、JC3さまや行内の他部署との調整も支援いただきました。こうしたマーケティング施策は本来、銀行として示すべき内容であると思いますが、様々な関係者や部署のハブとなる役割を果たしていただきました。
同じテーマで3年前から一緒に取り組んでいますので、私たちの考えを理解し企画を考えていただいています。また、新しい取り組みを一緒にやっていこうという意気込みを感じています。

竹内氏:今回のプロジェクトは約1年前から検討をスタートしています。企画を考える上で共に苦労しましたが、産官が一体となった取り組みは、みずほ銀行のブランディングにも貢献できていると思います。

金井氏:最終的なプランにたどり着く過程で、様々な企画を出していただきました。そうした企画やディスカッションを通して、一緒に企画を作り上げることができたと実感しています。

インタビューの様子2

「不正送金被害をゼロに。」 プロジェクトの今後の展望をお聞かせください。

幸田氏:今回の取り組みは、非常に多くのお客さまに参加していただきました。今後も継続し取り組むことに意義があると感じています。お客さまだけではなく、みずほ銀行の行員も含めてセキュリティへの意識や知識を高めることはとても重要です。今後もお客さまにとって有意義な情報を発信したいと思います。

八子氏:私は、今回初めて、お客さま向けプロジェクトの業務に関わり、デジタルマーケティングの推進やWebサイト制作等、とても良い経験となりました。また、今回の取り組みを通して、外部連携の重要性を学びました。不正送金は、みずほ銀行だけが取り組んでもゼロにすることはできません。様々な事業者や団体、省庁なども含めて、取り組むテーマと言えます。これまでの取り組みをきっかけに、今後も外部との連携を強化し進めていきたいと思います。

金井氏:情報セキュリティに関するコンテンツは、理解されにくい難しい内容が多いと感じています。また、デジタル化を進めることとセキュリティレベルを高めることは密接な関係にあります。今後のプロジェクトでも、難しい内容をわかりやすく伝えること、参加してみたいと思っていただける企画を実現することで、今後も良いコンテンツが提供できると信じています。

竹内氏:こうした啓発活動は、継続することが重要です。そして、みずほ銀行では、「オープンコネクト」というキーワードで、外部との連携を目標として掲げています。これまで以上に様々な団体や関係者との連携を強化し、進めていきます。

熊谷氏:今後もダイレクトバンキングのデジタル化をより強化し、商品としてのレベルアップを目指していきます。デジタル化が進むことで、より強固なセキュリティが必要となりますが、強固なセキュリティの提供は、お客さまに安心してご利用いただくことにつながります。私たちの取り組みを伝えるために、他部署や外部とも連携し、お客さまにきちんと見ていただけるコンテンツづくりに注力していきたいと思います。

みずほ銀行さまにおけるメンバーズの支援範囲

  • デジタルマーケティング運営支援(EMC)
    (Webサイト運用・構築/コンテンツ企画/改善PDCA推進支援/サイト分析etc)
  • CSV活動支援

サービスのご案内

クライアント 株式会社みずほ銀行
所在地 東京都千代田区丸の内1-3-3
URL https://www.mizuhobank.co.jp/

※取材内容は2021年3月当時のものになります