属人化から「全社の仕組み化」へ。部署横断の若きタスクフォースで挑むSalesforce導入プロジェクトの裏側

属人化から「全社の仕組み化」へ。部署横断の若きタスクフォースで挑むSalesforce導入プロジェクトの裏側
株式会社Too 井上 弘太郎さま、武田 紳吾さま、安倍 遼太朗さま、青栁 仁さま

株式会社Tooは、IT・クリエイティブ製品を中心に幅広い製品を取り扱う、クリエイティブ市場の総合商社です。Appleデバイスを最大限に活かせる環境構築の支援や、アドビ製品の導入・活用への伴走など、お客さまのビジネスのクリエイティビティを引き出し、イノベーションを支えることを目指しています。同社では近年、「全社的な仕組み化」を大きなテーマに掲げ、メンバーズとともにCRM(顧客関係管理)ツールの刷新プロジェクトを推進しています。今回は、その中心メンバーである皆さまにお話を伺いました。

"部門最適"なデータ管理を脱却。全社横断の仕組み化へ

- 本日はお時間いただきありがとうございます。まず、皆さまが所属する部署と、今回のSalesforce導入プロジェクトにおける役割について教えていただけますでしょうか。

青栁氏: 私はサプライチェーン周りの執行役員として、基幹システム導入やワークフロー構築を推進しつつ、ビジネスオペレーション部を見ています。この部にはメンバーが100名ほどいるのですが、部門やチームの垣根を超え、バックオフィス全体の仕組みを作っていくことを目指しています。今回のSalesforceのような大規模プロジェクトでは、ビジネスオペレーション部だけでなく、マーケティングやセールスなど、組織を横断したタスクフォースで取り組んでいます。

インタビューの様子1

安倍氏: 私はビジネスオペレーション部でインサイドセールスを担当しています。プロジェクトでは、主にインサイドセールス活動のプロセス構築や、以前使用していたCRMのメインユーザーとしての視点を活かし、参画しています。

武田氏: 私はビジネスオペレーション部のICTデザインチームで、全社の業務システム開発や業務フローの整備を担当しています。今回のプロジェクトでは、Salesforceのシステム管理や、社内システムとのデータ連携部分などを担当しています。

井上氏: 私はパブリックリレーション部で、主にWeb制作や広告などのマーケティング(デマンドジェネレーション)を担当しています。プロジェクトでは、MA(マーケティングオートメーション)ツールである「Account Engagement(旧Pardot)」の導入・運用構築を担当しています。

- 今回のプロジェクトは、部署横断のタスクフォースで進められているのですね。プロジェクト開始当初は、どのような課題があったのでしょうか?

青栁氏: 以前もCRMツールは利用しており、各部署が自分たちの立場で最適化を図っていましたが、会社全体で「仕組み化」を進めるとなったとき、その延長線上では全社の仕組み化はできないな、と。

武田氏: そもそも顧客データを管理するプラットフォームがシステムごとに異なり、同じ人のデータがバラバラに存在していました。データの同期が取れておらず、一元化できていないことが大きな課題でしたし、それらをつなぎこむキー(共通の値)もなかったんです。

井上氏: マーケティングの立場でも、MAでリード(見込み客)を獲得した後、それがどう営業活動につながり、最終的に商談や契約にどの程度結びついたのかが把握しづらい状況でした。いちいち現場に声をかけて確認するコミュニケーションコストもかかっていました。

安倍氏: 従来のCRMでは、情報が「人(顧客や見込み客)」単位で管理されていたため、お客さまのニーズや関心を「会社」軸で集約・分析することが難しい状況でした。本来は、お客さまの「会社」ごとに、セミナーへの参加履歴やお問い合わせ内容、営業・サポートとのコミュニケーション履歴を把握し、「会社」として抱える課題を面で捉えなければ、適切なご提案はできません。その点に課題を感じていました。

インタビューの様子2

決め手は「自走」への共感。一度の失敗を経て、メンバーズと再スタート

- 全社的にデータをつなげ、仕組み化する必要があったのですね。そのなかでSalesforceを選定し、メンバーズにご依頼いただいた経緯を教えてください。

青栁氏: 実は、Salesforce自体は以前からサポート部門が先行して導入していました。その後、セールス部門が元々使用していたCRMをSalesforceに移行するプロジェクトが立ち上がり、別のベンダーさんに依頼しようとしましたが、実現したい内容が十分に伝わるかどうか、コミュニケーション面で難しさを感じたため、一旦プロジェクトを白紙に戻しました。

基幹システム構築が完了した2024年、改めて既存のCRMをSalesforceに移行するプロジェクトを再開。その際、MAとCRMの連携に重きを置き、ベンダーを探していたところ、MAからCRMまで全般に明るく、Salesforceの支援実績があるメンバーズさんを知り、依頼することになりました。

- メンバーズからの最初の提案は、どのような印象でしたか?

青栁氏: 我々が「縦割りの部分をつないでいかなきゃいけない」と思っていたタイミングで、メンバーズさんから「プロセスを横断的に、全体最適を目指すべき」という、我々が考えていることと全く同じ方向性の話をいただけたんです。「こうしなさい」ではなく、「こうしますよね」と、うまく我々を乗せていただいた(笑)。そこに強く共感しました。

武田氏: 例えば、データの管理方法についても、それまでは独自で管理していたものを、「法人番号」という共通の値で管理する方法を提案いただき、データの構造から一緒に考えていただきました。

- プロジェクトはどのように進んでいったのでしょうか?

青栁氏: 最初はインサイドセールスチームから安倍が参加し、その後、全社的な仕組みにするタイミングでICTデザインチームの武田が、さらにマーケティングとつなげる段階で井上が参加しました。この3人が集まったタイミングで、改めて全社プロジェクトとしてリスタートした形です。

- 特に印象に残っている、メンバーズとの進め方はありますか?

青栁氏: 一番大事だったのは、「メンバーズさんが全部やるのではなく、自分たちで運用を回せるようにする」というゴールを最初に握ったことです。作業自体は一緒にやるけれど、そのやり方を教わって、できるようになったら自分たちでやってください、というスタンスで伴走していただきました。

井上氏: まさにMAの導入あたりは、元のシステムからのデータ移行など、我々(Too側)でやった作業も多かったです。まずレクチャーを受けて理解した上で作業を進められたので、導入後のスムーズな運用にもつながっていると思います。

武田氏: 私は技術担当として細かい部分を見る必要があり、ときにはこちらの意向と沿わない部分について、強くお伝えしてしまうこともありました。それでも真摯に対応してくださり、「あたかも社員®※」という言葉通り、本当に同僚のような感覚で一緒に働かせていただきました。

※あたかも社員は当社の登録商標です。あたかも社員(登録商標第6923667号)

芽生えた「オーナーシップ」。仕組み化がもたらした、組織と個人の変化

- メンバーズの「伴走」を経て、プロジェクトが進んでいったのですね。導入によって、どのような変化がありましたか?

井上氏: まずマーケティング部門では、Salesforceのダッシュボードを構築しました。これまで見えなかった指標が見えるようになり、関連部門からも「見やすくなった」と評価されています。

インタビューの様子3

安倍氏: インサイドセールスでも、会社軸でアプローチの状況やお客さまのLTV(顧客生涯価値)を測る指標が体系的に管理できるようになり、「統制が取れるようになってきた」と実感しています。

青栁氏: 組織的な変化も大きいです。このプロジェクトを通じて、それまであまり関わりがなかった安倍、武田、井上のような若手の層が、部署を横断してつながり、一つの仕事をするようになった。これ自体が、会社として非常に大きな成果だと感じています。

- ご自身の業務や意識の面で変化はありましたか?

武田氏: 私は入社してすぐにこの大規模プロジェクトにアサインされ、最初は右も左もわからず、受け身になっていた部分がありました。しかし、プロジェクトを進めるなかで「自分たちが意思を持って進めないと、使いやすいシステムは作れない」と痛感し、プロジェクトリーダーとしての「オーナーシップ」が持てるようになりました。 今までは現場の要望をそのまま受けて部分最適な改修をしがちでしたが、今は「全体設計を考えてメンテナンスしやすいものを作る」という意識が芽生えています。

インタビューの様子4

- プロジェクトは現在、どのようなフェーズなのでしょうか?

安倍氏: 3つあるビジネスユニットのうち、1つの導入が完了したところです。利活用は始まったばかりですが、構築段階からセールスのマネージャーも入って「現場が入力しやすいか」を議論してきたので、比較的スムーズに運用が始まっています。

青栁氏: 完了したユニットを見た他の部署から、「あんなことができるんだ、自分たちも早くやりたい」といった期待の声も上がってきており、良い形で社内に輪が広まっているのを感じます。

データ活用の先へ。社外の視点と「次なる一手」への期待

- まだプロジェクトは道半ばとのことですが、今後の展望についてお聞かせください。

青栁氏: まずは残りのビジネスユニットへの展開を進めます。その後は、セールスやマーケだけでなく、サポート部門とも情報をつなぎ、単に情報を揃えるだけでなく、「その情報を使ってどうお客さまに価値をお届けしていくか」というフェーズに入っていきたいです。
将来的にはAIの活用も考えていますが、それは自動化というより「今、我々が気づけていないことをAIの力で気づけるようになる」ことができていると良いなと思っています。その前段階として、データを一箇所に集め、仕事のルールを整備していければと思っています。

- 最後に、今後メンバーズに期待することがあれば、ぜひお願いします。

青栁氏: 本当に満足しているのですが(笑)、あえて言うなら、我々も市場のトレンドや技術革新など、不確定要素が多いなかで意思決定をしていくのは、自社だけでは難しい部分があります。「Tooではない方」という社外の視点で我々を見て、「こういう風になっていったらいいんじゃないか」という期待をもっとぶつけていただきたいです。

安倍氏: 社内で議論すると、堂々巡りになったり、既存の枠から出にくかったりすることがあります。そこにメンバーズさんが入ってくださることで、新たな気づきを得られることが多いです。引き続き、私たちの「仕組み化」の定着に向けて、伴走していただけると嬉しいです。

皆さま、本日はありがとうございました!

インタビューの様子5

(最終更新日:2025年12月)

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