現場の“ぼやき”が即ツールに。WWFジャパン広報の“小さな手間”を生成AIで効率化した裏側

メンバーズは、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下、WWFジャパン)さまの広報業務における生成AI活用の指針づくりと開発・実装を支援しました。現場の声を起点に、SNS投稿の文面作成や画像変換といった“小さな手間”を素早く改善し、現場に根づく形で活用の幅を広げています。今回、プロジェクトの背景や印象に残っているエピソードなどについてお話を伺いました。
ガイドラインの空白を埋め、生成AI活用の可能性を広げる
- ブランドコミュニケーション室が目指す方向性と、そのなかで皆さんが日々取り組まれていることについて教えてください。
渡辺氏:ブランドコミュニケーション室では、WWFジャパンが取り組む生物多様性保全活動を広く社会に伝え、一般の方々やメディア、行政、企業など、より多くの人々の意識変容と行動変容を促すことを大きなミッションとしています。単に「動物を守ろう」と感情に訴えるだけではなく、科学的なアプローチに基づいて課題を伝え、その解決のプロセスを示すことを重視しているのが特徴です。
高橋氏:私はその部署で公式ウェブサイトの運営やSNSの発信を担当しています。日々のオペレーションに加え、各部署と連携しながら、より効果的に情報を届けるための改善や戦略的な分析にも取り組んでいます。オンラインを通じて多くの方にWWFジャパンの活動を知っていただき、行動につなげてもらえるよう注力しています。
- 生成AI活用を進めようとした背景には、どのような課題や状況があったのでしょうか。
渡辺氏:国際的な団体であるWWFには生成AIに関するガイドラインが存在するものの、その内容は概念的で、各国や地域の文脈や法律に即した具体性に欠けている点がありました。現場でAI活用を検討する際には指針が乏しく、手探りにならざるを得ない状況でした。一方で社会全体では生成AIの活用が急速に広がっており、WWFジャパンとしても取り残されず積極的に取り入れていくことが必要だと考えました。
広報業務における生成AI活用PoC ― 成果創出へのチャレンジ
- メンバーズに依頼されたきっかけについて教えてください。
渡辺氏:メンバーズさんには以前からお世話になっており、コミュニケーションガイドブック作成でも支援いただきました。WWFは多様な団体や企業に依頼する際、先方が当団体の状況や事業課題を理解していないと調整に時間を要し、生産性が下がりがちです。その点、メンバーズさんはWWFの組織や活動の背景を踏まえ、明確な実績を持っていること、さらに現実的なロードマップを提示し、短期間で成果を出せるスモールスタート型の提案をしてくれたことが依頼の大きな理由でした。
- AI活用による成果創出において、特に重視していた点はありましたか。
高橋氏:成果創出に向けて特に意識したのは、派手な部分ではなく見落とされがちな小さなタスクに目を向けることでした。ディスカッションを重ねるなかで、ウェブサイト更新に伴う画像変換など、一見地味ながら実は時間を大きく消費する作業があると気づき、こうした細かなプロセスを見逃さず、改善ポイントとして設定できたことが、短期間で成果を出すうえで有効だったと感じています。
小さな“ひとこと”がAIツールに変わった瞬間
- プロジェクトを進めるなかで、特に印象に残っている取り組みはありましたか。
高橋氏:印象に残っているのは、私の何気ない「ぼやき」が課題として拾われ、すぐに改善ツールのプロトタイプとして形になったことです。「もうできたの?」という驚きとともに、ちょっとした要望を伝えると次の週には形になっている。そのスピード感に、個人的にも強く感動しました。
- プロジェクトを通じて、業務の進め方や効率に変化はありましたか。
高橋氏:今回のプロジェクトで提供いただいたツールは、今でも日常業務に活用しています。特に画像変換ツールは業務のスタンダードとなりつつあり、効率化されているのを実感しています。SNS文面作成のAI活用は課題もありますが、ベースとして活用することで確実に業務プロセスに組み込まれつつあります。現状は私の業務範囲に限られていますが、今後共有・展開することでさらに効果が広がると期待しています。
- 成果物を使ってみて、社内のメンバーからはどんな反応がありましたか。
高橋氏:一部のメンバーに見てもらった際には「こんなことまでできるの?」と驚きの反応がありました。特にSNS文面作成は、ベースとして活用できる点にインパクトを感じてもらえたと思います。大々的な展開はこれからですが、今回の成果をきっかけに社内全体へ広げられると期待しています。
AI活用の幅を広げ、新たな可能性を切り開く
- 今後メンバーズと取り組むとしたら、どんなことをやってみたいですか。
高橋氏:AIを業務改善の先にある相棒として、活用する領域を広げていきたいです。例えば、私が担当しているウェブサイトのパフォーマンスや、発信した情報の反応をより高度かつ即座に分析できれば、次の改善の方向性を素早く示すことができます。専門知識を持つ担当者が一人で悩むのではなく、AIに相談することで改善サイクルを加速させられる。そんな支援をいただけたら面白いと感じています。
渡辺氏:AIに任せられる部分をさらに整理して、人間が本来注力すべき仕事に集中できる環境づくりを進めたいです。定型業務や企画提案といった業務はAIが担い、人は対面でのヒアリングや本質的な判断に力を注ぐべきだと考えています。そうした取り組みをメンバーズさんとともに試せる機会があれば、楽しそうだと感じます。
(最終更新日:2025年09月)
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社名 | 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン |
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業界 | その他 |
課題 | 生成AIを導入・活用したい |
主な支援サービス | AI |
