1.目的と背景
株式会社メンバーズ(以下、当社)は、AIを社員の創造性を拡張し、より質の高い価値を創造するための「協働パートナー」と位置づけています。当社は、AI技術の急速な発展がもたらす社会的な影響と責任を深く認識し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を両立させるため、本方針を定めます。また、本方針に基づき、実務的な運用ルールとして「AIサービス利用ガイドライン」を定めます。
2.適用範囲
本方針は、当社の役員、従業員、および当社の業務に従事するすべての者に適用されます。また、自社での開発・利用のみならず、顧客のプロジェクトへの参画、業務支援の提供、およびそれらを通じて創出される成果物、ならびにサプライヤー選定においても、本方針の原則を尊重します。特に、クライアントの環境下で業務に従事する際は、顧客の定める規程を遵守したうえで、本方針に基づきAIのリスクを適切に管理・提言できるプロフェッショナルとしての責任を果たします。
3.基本原則(AI倫理原則)
当社は、すべてのAI活用において以下の原則を遵守します。
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人間中心 (Human-centricity)
AIはあくまで人間を支援するツールであり、最終的な判断と責任は人間が負います。人間の尊厳と自律性を尊重します。 -
公平性 (Fairness)
当社の人権基本方針に則り、AIの利用において、国籍、人種、民族、出生国、出身地、肌の色、宗教、思想・信条、言語、性別・性自認・性的指向・性表現、年齢、障がいの有無、婚姻、妊娠、健康状態、雇用形態、社会的身分などを理由とした不当な偏見や差別、人権侵害を生み出さないよう努めます。 -
透明性と説明責任 (Transparency & Accountability)
AIを利用した業務プロセスや成果物について、可能な限り透明性を保ち、顧客やステークホルダー、社会に対する説明責任を果たせるように努めます。 -
プライバシー保護 (Privacy Protection)
顧客、エンドユーザー、社員のプライバシーを尊重し、個人情報の保護を徹底します。 -
セキュリティと安全性 (Security & Safety)
AIの利用に伴うセキュリティリスクを管理し、安全な利用環境を維持します。 -
技術的誠実さと品質管理(Technical Integrity & Quality Management)
顧客のAI開発・運用を支援する立場として、ハルシネーション(誤回答)のリスクを技術的に認識し、検証記録(ログ)の適切な管理や精度維持に努めます。 -
バイアスへの配慮(Mitigation of Bias)
学習データやアルゴリズムに潜む偏見を特定するよう努め、顧客のサービスが不当な差別を助長しないよう、専門的な知見に基づき提言を行います。
4.環境への配慮 (Green AI)
当社は、AIモデルの運用やデータセンター利用に伴う電力消費および環境負荷を認識しています。エネルギー効率の高いインフラの選定、モデルの最適化、および運用の効率化を通じて、AI利用に伴う環境フットプリント(CO2排出量等)の低減に努め、脱炭素社会の実現に寄与します。
5.禁止事項とコンプライアンス (EU AI法等の準拠)
当社は、EUのAI規制法を含む法律を遵守するとともに、以下の基本的人権を脅かすAIの利用・開発を厳格に禁止します。
- 個人の意識や行動を不当に操作する技術の利用
- 公的な機関等による社会的な信用スコアリング(ソーシャルスコアリング)
- 特定の脆弱性を悪用した差別や排除
- 公共空間における無許可のリアルタイム遠隔生体認証
- 第三者の知的財産権(著作権、商標権等)を侵害するプロンプト入力および生成物の利用
- 顧客から預託された機密情報および個人情報を、適切な許諾なくAIモデルの学習に利用すること、およびセキュリティが担保されていない外部AIサービスの入力
6.ガバナンス体制と財務透明性
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監督体制
代表取締役を本方針の責任者として定め、取締役会に報告します。実務的な執行および管理はSecurity Management Office (SMO)が担当します。 -
実効性の確保とステークホルダー対応
SMOにおいて、AI利用に伴うリスク評価、公平性監査、および是正措置を実施します。また、AIの利用に関する外部からの指摘や相談を受け付ける窓口を設置し、透明性の高いコミュニケーションを維持します。万が一、不具合や権利侵害が発生した場合には、顧客と連携し、速やかに事態の収拾と再発防止に努めます。 -
財務指標の管理
AI導入に伴う投資額、収益への貢献、コスト削減効果、および投資利益率(ROI)を定量的に管理し、ガバナンスの透明性を高めます。
7.教育と継続的改善
当社は、全社員に対して定期的なAI倫理教育を実施し、リテラシーの向上を図ります。特に顧客先でAI関連業務に従事する人材に対しては、最新の技術動向や法的リスクに加え、国内外の最新の指針や社会的に求められる倫理的・技術的基準に基づく高度な専門教育を継続的に実施します。これにより、変化の激しいAI領域において、顧客のビジネスに安全かつ高品質に寄与できる専門性を維持・提供する体制を構築します。また、技術の進展や社会情勢、法規制の変化に基づき、本方針および本方針に基づく「AIサービス利用ガイドライン」を少なくとも年1回見直し、継続的に改善します。
2026年3月27日
本方針は株式会社メンバーズ取締役会において承認、制定されました。
