ジュピターテレコム(J:COM)さま

CSV活動支援

存在意義や社会課題を考えることに加え、ファシリテーションの場作りの重要性を学ぶ

メンバーズでは、3年前より、ジュピターテレコム(J:COM)さまがデザイン思考の浸透や共創文化醸成を目的にすすめる「未来共創プロジェクト」で、ワークショップの開催やファシリテーションの支援を行っています。これまでの取り組み内容や今後の展望に関して、事務局のお2人にお話をお伺いしました。

インタビュー右から
株式会社ジュピターテレコム イノベーション推進本部 ビジネス開発第二部
竹内 巧氏
長沼 亜紀子氏

株式会社メンバーズ EF室 CSVデザイン
國村 友貴子
原 裕
萩谷 衞厚

社員自らが未来を考え実行する、そうした会社にしたいという経営層の想いから、「未来共創プロジェクト」がスタート

J:COMさまでは、デザイン思考を採り入れ、社員自らが考え実行することの重要性を社内に浸透すべく「未来共創プロジェクト」の取り組みを進めています。プロジェクトスタートの経緯から教えていただけますか?

長沼氏:未来共創プロジェクトは2017年度からスタートしています。準備をスタートしたのは、その前年度からとなります。私たちは、北海道から九州まで様々な地域に拠点がありますが、以前より、会長や社長は、全国の社員と交流を図り、社員の声に耳を傾けてきました。2016年当時は、AIやIoTなどのキーワードをよく耳にするようになった時期と重なります。
経営層が社員との意見交換を行うなか、AIなどのテクノロジーが進歩することによる、J:COMの将来や現在の業務に関する不安の声がとても多くなったと聞いています。未来に危機感を持つことに加え、そうした未来を社員自らが考える、そのような会社にしたいという経営層の想いから、このプロジェクトをスタートしました。未来や共創を考える象徴的なスペースとして「J:COM Lounge」を作り、活動を開始しました。

自らが考えることを重視することに加え、未来共創プロジェクトのワークショップでは、デザイン思考を採り入れています。デザイン思考を取り入れた理由を教えていただけますか?

長沼氏:「J:COM Lounge」を作る上では、この場を活用してどうしたいのかというコンセプトから考えました。私たちは、様々なサービスを提供していますが、モノづくりの会社ではないため、何かをみんなで考えることは苦手でした。また、「新規事業や新商品の開発だけではなく、日々の業務やオペレーションの改善もイノベーションである。イノベーションを生む会社にしたい」という経営層の考えがありました。そうしたトップの考えがあり、「未来共創」というコンセプトを掲げました。
どうやって未来を考えるか、ということでは、外部の様々なセミナーやワークショップに参加して、色々な会社の話をお伺いする中で、メンバーズさんとのご縁がありました。自社の存在意義から考えることや、デザイン思考のプロセスを採り入れたワークショップは、とても共感できる内容でした。

長沼 亜紀子氏

1,000名以上の社員が参加し、「未来共創ワークショップ」により、デザイン思考を学ぶ

2017年からご一緒している「未来共創ワークショップ」ですが、参加者は何名になりましたか?

竹内氏:参加した社員はすでに500名を超えました。また、 本社・各拠点の上層部向けにそのエッセンスを伝える「未来共創ワークショップ」体験版の参加者も含めると、すでに約1,000名の社員がデザイン思考や共創の意義への理解を深めてきました。

多くの社員の方々が「未来共創ワークショップ」に参加することで、社内変化はありますか?

竹内氏:少しずつではありますが、ワークショップで学んだことをそれぞれの職場で実践する社員が増えています。これまでは、業務改善を考える際、自部署の中だけで検討していました。しかし、ワークショップに参加したことで、共創の意義を理解し、業務に関係する他部署の社員も含めてディスカッションを行うことも増えていると聞いています。新しい商品やサービス開発の他、日々の業務改善等、まずは行動することからスタートできていると実感しています。

竹内 巧氏

体験版ワークショップには、会長、社長をはじめ、各拠点の上層部の方々も参加しています。全社的に「未来共創」の文化を浸透させようという強い意志を感じました。

長沼氏:全社での大きな変化ということでは、今後の成果を楽しみにしています。現状では、プロジェクトを進めたことで、業務改善を検討する際に、ゴールデンサークル※のフレームワークを活用した取り組みも様々な部署で進められています。

  • ゴールデンサークル:サイモン・シネック氏により提唱。何かを伝えたり、行動を促す際に、Why、How、Whatの3要素のうち、「Why」から始めることが重要であるとする考え方。

また、今回、未来共創ワークショップやデザイン思考の理解を深めるため、社員配布用に制作した「J:COM 未来共創ハンドブック」を社員研修にも活用したいとの声もあがっています。「未来共創」の文化が社内に浸透している成果だと感じています。

J:COM 未来共創ハンドブック

竹内氏:優れた顧客体験、つまり、UX提供の側面からも、社内の意識は変化していると思います。私たちは多くのサービスを提供しているため、社内には多くの部署が設置されています。これまでは縦割りの考え方になりがちで部門間の連携が進まないこともありました。しかし、「未来共創ワークショップ」の実施により、これまでの考え方にも変化が生まれています。上層部が「未来共創」の考え方を理解しているからこそ、社員も安心して取り組むことができていると感じます。

ワークショップ開催を通して、社会課題解決型企業としての可能性を見いだす

ワークショップのサポートを通して感じたことは、多くの社員の方々が、全国規模で対面の営業やサポートチャネルを持っていることから、地域活性化にコミットする企業であると考えていることでした。また、地域の社会課題を解決できる数少ない企業であると実感しています。

長沼氏:ワークショップを通して、自社の存在意義を考えたり、国内の人口減少などの社会課題の実情を知ったりすることはとても重要な取り組みであると考えています。社会課題解決企業としてJ:COMがその役割を果たせる可能性があることを、参加者も感じていると思います。

2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、これまでのワークショップは、全てオンライン形式に移行しました。オンライン形式のワークショップはいかがでしたか?

長沼氏:参加者が対面で向き合い、お互いの顔を見ながら自由に話し合ったり、レゴを使ってプロトタイプを作ったり、リアルでのワークショップ開催はとても重要です。しかし、オンラインで開催したことにより、札幌と九州の社員が同じワークショップに参加するといった、これまで直接話をする機会少なかった社員同士がコミュニケーションできたのは大きな成果であり、参加者にも好評です。
オンラインでの開催に当初は心配していましたが、これまで通り、遜色なく共創の意義を学び、参加者同士のコミュニケーションを図れることは、大きな気付きとなりました。各拠点への移動の制約があったからこそ新しい取り組みにトライすることができました。今の状況が落ち着いたら、リアルとオンラインとそれぞれの良さを活かし、運営していきたいと思います。

竹内氏:オンラインのワークショップで、ここまでコミュニケーションを図ることができるとは想像していませんでした。オンラインの各種ツールを活用してワークショップを開催したことで、参加者にオンラインの可能性や価値も感じ取っていただくことができたと思います。

長沼 亜紀子氏、竹内 巧氏

存在意義や社会課題を考えることに加え、ファシリテーションの場作りの重要性を学ぶ

未来共創プロジェクトの推進やワークショップの開催に関して、メンバーズの果たす役割はいかがですか?

長沼氏:昨年度から「未来共創ワークショップ」は、企業内大学として3年前にスタートした「J:COM University」という社内の研修プログラムに組み込み、受講しやすくしています。従来型の研修と異なり、参加者が楽しく、リラックスして、自らが考え体験しながら学べることが特徴です。また、ファシリテーションの手法に加えて、存在意義や社会課題を考えること、そして、場の雰囲気作りの重要性を学ぶことができました。

竹内氏:私も外部のセミナーやワークショップに参加することがありますが、「未来共創ワークショップ」のファシリテーションは、特に参加者の意見を引き出すことに注力していただいていると感じます。
J:COMの未来を語り合い、参加者が笑顔でワークショップに参加しています。これまで受講した研修の中で最も良かったという声が多く、参加者向けアンケートの満足度も高い評価を得ています。

全社的なプロジェクトに育て上げた事務局の皆さんの推進力や調整力に加えて、プロジェクトを成功させようという熱意を感じています。

長沼氏:ありがとうございます。プロジェクトのスタート当初は、「共創」の意義やデザイン思考の有効性を社内で説明をしても、否定されることもありました。「未来共創ワークショップ」の参加者を少しずつ増やしたこと、そして、経営層や各拠点の上層部を巻き込んだことで、社内での理解も深まり、いくつかの部署ではデザイン思考を実践しています。

竹内氏:私自身は、昨年度から携わっていますが、過去の経緯を知り、毎年このプロジェクトが成長し、社内に浸透していることを実感しています。

今後の展望や「未来共創プロジェクト」の未来をお聞かせください。

長沼氏:社員一人ひとりが、様々なことに疑問を持ち、自らが考え、社内や地域の課題を解決する、そうした会社の文化や風土を根付かせることが目標です。

竹内氏:将来は、J:COMが提供するサービスも変わっていくことでしょう。しかし、「未来共創」という考えは今後も変わることなく、継続して社内に浸透させていきます。「未来共創」が社内に浸透し、事務局としての業務がなくなることが私たちのゴールとなります。

本プロジェクトにおけるメンバーズの支援範囲

  • プロジェクト企画・推進支援
  • ワークショップの設計・ファシリテーション支援

サービスのご案内

クライアント 株式会社ジュピターテレコム(J:COM)
所在地 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館
URL https://www.jcom.co.jp/

※取材内容は2021年3月当時のものになります