三井住友カードさま

カスタマーエクスペリエンス向上支援

カード事業の未来を考える「デザインシンキングCXワークショップ」は、社内施策のベストプラクティス

今回は、メンバーズグループであるエンゲージメント・ファースト社がファシリテーターを務め、三井住友カードさまの部長職、並びにその他管理者層計100名以上の方々を対象に、三井住友カードさまの存在意義(Purpose)や価値(Value)をグループで考え未来における金融サービス在り方やその時に提供する顧客体験のアイデアを共創し、CJM(カスタマージャーニーマップ)を作成なども取り入れた共創デザインワークショップを開催させていただきました。開催後の感想や今後の展望をお伺いしました。

三井住友カード株式会社
CX推進部 グループマネージャー 秋山 光博氏(右から2人目)
CX推進部 守屋 聡氏(左から2人目)
エンゲージメント・ファースト:原 裕(右)、萩谷 衞厚(左)

ワークショップでお客視点起点で考えることに立ち返った時に、様々なお客さまの不便さに気付くことが出来た

萩谷(エンゲージメント・ファースト)

今回、CX(カスタマーエクスペリエンス)推進を目的として、CJM(カスタマージャーニーマップ)の作成なども取り入れた共創デザインワークショップ「デザインシンキングCXワークショップ」を開催させていただきましたが、主管部署として今回のワークショップのご感想をお聞かせください。

秋山氏

事務局という立場でもありながら、その他管理職層対象のワークショップに参加させていただきました。
ワークショップでは、CXの概要を改めて学び、参加者と共有できたことは、とても良い取り組みとなりました。
また、MTP(Massive Transformative Purpose:野心的な改革目標)を事前に考えていたからこそ、視野も拡がり、新しいことを考えるきっかけとなりました。

ワークショップに参加した際、私のグループでは、「カード更新の際の更新カードの送付が遅い」という課題をテーマに、CJMを作成しましたが、そもそもカードの有効期限や更新が必要なのか?といった議論もありました。ワークショップの前半で、CXやMTPについてディスカッションしていたからこそ、グループワークでそうした意見が出たのだと思います。

原(エンゲージメント・ファースト)

ワークショップをご支援する側の私たちがこだわっているのは、デザイン思考を基本に、未来から考えることです。そうでないと、今までと同じ当たり前の議論になってしまいます。今回は、これまでとは異なる視点で議論が出来たことで、とても有意義な取り組みとなりました。

秋山氏

ワークショップのカリキュラムも、様々な内容で構成され、参加者同士が討議をするグループワークが中心となっていました。ワークショップへの参加を通して、左脳よりも右脳を使っていることを実感できました。

守屋氏

私は、事務局を専任する立場から、ワークショップ参加者の表情をずっと観察していました。ワークショップの内容が、普段の業務ではあまり考えない様な内容でしたので、参加者の表情が一瞬、曇る様な場面が何度もありました。

しかし、グループワークでお互いの意見を交換することによって、一人ひとりに気付きが生まれ、色々なことを考え始める、そして、曇っていた表情が活き活きとなっていくプロセスを観察することができ、参加者の皆さんが活性化しているのが実感できました。

CJMの作成や、レゴを活用したプロトタイピング等の新しい体験は、参加者の表情を見ていると、正直初めはやらされ感もあるように見受けられました。しかし、お客視点起点で考えることに立ち返った時に、様々なお客さまの不便さに気付くことが出来たのでは、と感じています。

社会課題解決型企業となることの必要性を参加者が実感し、社内での施策としてはベストプラクティスになった

原(エンゲージメント・ファースト)

今回は、まず昨年に全部長が参加するワークショップを開催し、その後、その他管理職層の方々が参加されました。そうした流れで進められたことは、とても良かったと思います。

この様な新しい取り組みは、部長自らが参加し、自らが理解していないと、部内の人間も新しい動きはできません。
なお、昨年の部長職の方々とのワークショップの実施は、様々な部署の部長が一緒にお客さまの考える機会もよかったと思います。想定以上にグループディスカッションも盛り上がっていました。

秋山氏

議論するテーマによっては、一見全く業務的には無関係の部門長も一緒に考えることが出来たのは良い機会になったと思います。
また、ワークショップを通して、社会課題解決型企業となることの必要性も参加者が実感したと思います。社内での施策としては、ベストプラクティスになったかと思います。

守屋氏

ワークショップ参加者のアンケートは毎回必ず収集していますが、「参考になった」とのコメントがとても多かったのが印象的でした。例えば財務部門のように普段お客さまとの直接の接点はありませんが、お客さまとの様々な接点や苦労を理解し、結果的にそれが収益となって会社を支えている、というプロセスを理解できたとのコメントも挙がっていました。

また、お客さまとの接点が全くない部署の参加者が、グループワークでは、お客さまの立場に立った意見やディスカッションが行われるという、とても興味深い取り組みとなりました。

お客さまの立場に立ち、お客さまの感情にフォーカスすること、そして全社員が取り組むことが重要であり、CX実践への近道になる

原(エンゲージメント・ファースト)

今後は、キャッシュレス化等、金融サービスは進化していきますが、三井住友カードさまにとって、CXは今後ますます重要になります。

守屋氏

現在、三井住友カードでは“Have a good Cashless.”をキャッチフレーズに、大々的な広告を展開していますが、お陰さまで非常に多くの反響をいただいています。広告に好意的な感想に加え、中には様々なご意見も頂戴しております。反響があるということは、注目されていることです。お客さまの一部にネガティブな印象を持たれたとしても、それを改善するプロセスまでをお客さまは見ていると感じています。

そうした中で、“Have a good Cashless.”をテーマに、私たちは何ができるか?こうしたワークショップを通して、お客さまの立場に立ち、お客さまの感情にフォーカスすること、そして全社員が取り組むことが重要であり、CX実践への近道になると思います。

まだ誰も行ったことがない道をつくり上げることは、現在、私たちが提供するCMのテイストと一致していると感じています。そうした世界観を“Have a good Cashless.”やCXといった、一見漠然としているものと繋げていく、そうしたものを私たちがプロトタイピングし、お客さまと共有しながら、私たちがそれを繋ぐハブとなって作り上げることが出来ればと面白いな、と個人的には考えています。

原(エンゲージメント・ファースト)

あらゆるサービスがコモディティ化し、クレジットカード事業での差別化が難しい中、そうした取り組みを全社的にできるかどうか、サービス業としてとても重要です。

秋山氏

現在は、プラチナやゴールド等、カードの色でサービスの差別化をしてきました。しかし、カードを持たなくても済むようになれば、そうしたニーズも減るかもしれません。

守屋氏

特に若者はそうした傾向は強いかもしれません。そうした考えがある一方で、会社としてのブランドやスタータスを確立することもとても重要です。今後、三井住友カードが目指すものの一つに、CXというブランド価値やステータスがあると言えると思います。

秋山氏

三井住友カードでは現在ブランドの再構築を進めています。若い層の認知度は必ずしも高くはありません。そうした中で、ブランドイメージと“Have a good Cashless.”やCXを繋げてく必要があります。

守屋氏

今回のワークショップで、あるグループから「暮らしのストレスの全てを無くす」というMTPが挙がりました。こうしたことの実現がブランドを構築し、それがCXとなり、“Have a good Cashless.”になると言えます。
CX推進の研修事務局としては、こうしたMTPが参加者から挙がったことは、とても有意義であったと感じています。

原(エンゲージメント・ファースト)

CSの延長線上で、より一層、顧客満足を高めるといったことでは、ブランドにはなりません。しかし、良い顧客体験はブランド構築に繋がります。ブランドを再構築するということでは、CXに取り組むことは不可欠です。

守屋氏

今後は、今まで以上にCXを標榜する企業も多く出てくると思います。それが使い古され新鮮味を失うとブランドイメージにも傷がつきます。

ワークショップでも共有したボルボの動画(VOLVO Vision 2020)では、2020年までに、新しいボルボ車での死傷者をゼロにすることを発信していました。非常にチャレンジングな内容ですが、そうしたことを三井住友カードが打ち出し、真剣に取り組む企業だということ発信することも必要だと思います。

今後は社員一人ひとりが自分事化し、試行錯誤しながらでもCXを進めていくことが重要である

原(エンゲージメント・ファースト)

今後は、キャッシュレスやCXを三井住友カードのブランドまで昇華させることが必要です。

守屋氏

すでに業務を進める上、キャッシュレス化は進んでいますが、事業としてクレジットカード以外にも目を向けなければならないといけません。

秋山氏

私たちはすでにクレジットカード会社ではないことを改めて認識する必要があります。

原(エンゲージメント・ファースト)

最後に、今後のCX推進部としての取り組みや展望をお聞かせください。

守屋氏

これまでは、デザイン思考を取り入れ、CXの意義改めて考える取り組みを行い、社内での定着を行ってきました。今は実践するフェーズとなっています。

秋山氏

これまでは社内での啓発が中心となっていました。社内での理解を深め浸透させるために、啓発は重要です。しかし、今後は社員一人ひとりが自分事化し、試行錯誤しながらでも進めていくことが重要であると考えています。今回限りの取り組みにするのではなく、さらに社内にCXを根付かせるため、今後どう展開するか、私たちの重要な検討事項となっています。

三井住友カードさまにおける、エンゲージメント・ファースト社の支援範囲

  • カスタマーエクスペリエンス向上支援
  • 共創デザインワークショップの開催

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※取材内容は2019年3月当時のものになります