執筆者紹介

土山 青華
2024年にメンバーズへ新卒入社。
全社横断マーケティング部門にて、自社サイトのコンテンツマーケティングチームでディレクターを務めています。
今後も読者の皆さまにとって分かりやすく、実践に役立つ情報発信を目指してまいります。
近年、テクノロジーの進化と消費行動の変化に伴い、企業が直接顧客とつながるD2C(Direct to Consumer)モデルが急速に拡大しています。特にオンラインにおいては、Webサイトやアプリにおける顧客体験(UX)の質が、ブランドイメージの向上、顧客ロイヤルティの強化、そして最終的な売上増加に大きく影響します。
そこで、10社のD2Cブランドを対象に、UX戦略、特に商品詳細ページ、購入導線、安心感の訴求に焦点を当て、分析しました。D2Cビジネスにおける顧客体験向上のヒントを探ります。
このフードテック企業のサイトは、商品の栄養素をグラフを用いて他社と比較し、健康志向のユーザーに対して訴求するUI/UX設計が特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
この食材宅配サービスのサイトは、豊富な商品とレシピで日々の食卓をサポートする工夫が凝らされており、献立提案や定期購入機能がスムーズに利用できるUX設計が特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
このフードデリバリーのサイトは、目的別検索や詳細な商品情報により、ユーザーが求める商品に簡単にたどり着けるUI/UX設計が特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
このコスメブランドは、ブランドにあった洗練されたデザインが魅力的で、成分の説明やレビューが充実しており、購入後のイメージを具体化しやすいUI/UX設計が特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
このオーガニックコスメのサイトは、温かみのある色調と自然な素材感を活かしたデザインでブランドの世界観を演出。ユーザーが「いいね!」やシェアをしたくなるようなコンテンツで、ブランドとのインタラクションを増やすUI/UX設計が特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
このスキンケアブランドは、皮膚科学に基づいた丁寧な商品説明と、商品の比較機能やサンプル提供で、ユーザーの購買を後押しするUXが特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
このスキンケア商品のサイトは、アイコンやイラストを活用した分かりやすい情報伝達と、お得なキャンペーン情報を効果的に提示し、直感的な理解を促すUI/UX設計が特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
ヘアケアブランドのサイトは、質問形式でパーソナライズされた提案によって、自分に合った商品が見つかる体験を提供するUI/UX設計が特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
このオンラインストアは、1週間ごとのランキングや季節のトレンドカラーなど、豊富な商品を効果的にカテゴリわけし、購買を促進するUI/UX設計が特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
このアパレルブランドのサイトは、モデル着用画像や動画、詳細なサイズ情報を提供することで、購入後のミスマッチを防ぐUI/UXが特徴です。
ページの構成
購入までの導線設計
安心感・信頼感の訴求要素
分析対象としたD2Cブランド10社のUI/UXを比較分析することで見えてきた傾向とパターンをまとめました。
比較観点 | ポイント |
商品詳細ページの画像 | 商品の魅力を多角的に伝えるために、複数の画像と動画を活用する。動画での商品の使用方法解説や画像の拡大機能は、細部まで確認したいユーザーにとって重要。 |
CTA | CTAボタンは、ユーザーが迷わず購入に進めるよう、目立つ場所に分かりやすく配置する。固定表示や、カート投入後のポップアップによる遷移の促しは有効。ボタンの色や文言は、サイト全体のカラースキームやターゲット層に合わせて最適化する。 |
テキスト情報 | 商品の詳細情報は、購入の意思決定を大きく左右するため、正確かつ分かりやすく記載する。栄養成分、アレルギー情報、サイズスペックなどはプルダウンやタブを活用して情報を整理し、ユーザーが必要な情報にアクセスしやすくする工夫も有効。 |
UI/UXの特徴 | サイト全体のカラースキームは、ブランドイメージに合わせて設計する。重要な情報は、太字やポイントカラーを活用して強調すると効果的。情報の整理には、プルダウンやタブを適切に利用することで、視認性を高める。 |
トップページからの導線設計 | ユーザーが目的の商品にスムーズにたどり着けるよう、グローバルナビゲーションの配置や文言を最適化する。カテゴリ分けを適切におこない、検索機能を充実させることやキービジュアルからも直接商品ページや一覧ページへ誘導するのも有効。 |
安心感・信頼感の訴求要素 | 購入者レビューは、安心感と信頼感を醸成する上で非常に重要。レビューの件数だけでなく、並べ替えや絞り込み機能を提供することで、ユーザーは自分にとって有益な情報を効率的に見つけられる。受賞歴や専門家の推薦、FAQの充実、問い合わせ先の明記、返品・交換ポリシーの提示なども有効。 |
今回のD2Cブランド10社のUI/UX分析を通じて、商品詳細ページの情報の充実度と見やすさ、スムーズな購入導線の設計、そして安心感・信頼感の醸成が、オンラインショッピング体験において欠かせないことが改めて確認できました。これらの要素が、顧客体験と売上にどのように影響を与えるのかを以下に考察します。
多様な商品画像・動画の提供
商品の魅力を最大限に伝え、顧客が実際に商品を利用するイメージを持つ上で非常に有効です。食品を取り扱うブランドではパッケージの裏表や調理例、ファッションブランドでは多様なモデル着用写真や生地感の分かる拡大写真、コスメブランドではbefore/after比較など豊富な画像が提供されています。画像が不足している場合、顧客は商品の詳細を把握できず、購入をためらう可能性があります。
情報の整理方法
プルダウンメニューやタブを活用することで、多くの情報をコンパクトに表示し、ユーザーが必要な情報に容易にアクセスできるようになります。情報が煩雑に表示されていると、顧客は必要な情報を見つけるのに苦労し、ストレスを感じるでしょう。
分かりやすいナビゲーションとシンプルな購入フロー
キービジュアル直下やヘッダーからの商品一覧への導線など、多くのサイトで分かりやすい導線が設計されています。目的の商品にたどり着くまでに複雑な操作が必要な場合、顧客は途中で購入を諦めてしまう可能性があります。
CTA(Call to Action)ボタンの設計
固定表示やカート投入後のスムーズな遷移は、ユーザーが次のアクションを迷わずおこなえるように促します。CTAボタンが見当たらなかったり、カートへの遷移が遅かったりすると、顧客は購入意欲を失ってしまう可能性があります。
購入者レビューの存在と質
他の顧客の評価を知ることで、購入の不安を軽減し、信頼感を醸成します。多くのブランドでレビュー機能が実装されており、絞り込み機能や並べ替え機能も提供されています。レビューが全くなかったり、ネガティブなレビューばかりが目立ったりすると、顧客は購入を躊躇するでしょう。
信頼性を高める要素
受賞歴や専門家の推薦、FAQの充実、問い合わせ先の明示、返品・交換ポリシーの提示などは、顧客の不安を解消し、信頼感を高める上で重要な役割を果たします。これらの情報が不足していると、顧客は疑問や不安を解消できず、購入に至らない可能性があります。
「見たい」「知りたい」「買いたい」「安心したい」というユーザーの声に応える情報とスムーズな導線設計が、顧客満足度や信頼性を高め、最終的には売上につながります。逆に、これらの要素が不足したUI/UXは、顧客体験を損なう可能性があり、サイトからの離脱や購入の機会損失を招くでしょう。今回ご紹介した事例を参考に、ぜひ自社のECサイトの改善に取り組んでみてください。
土山 青華
2024年にメンバーズへ新卒入社。
全社横断マーケティング部門にて、自社サイトのコンテンツマーケティングチームでディレクターを務めています。
今後も読者の皆さまにとって分かりやすく、実践に役立つ情報発信を目指してまいります。