株式会社メンバーズ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:剣持 忠、以下「メンバーズ」)は、2021年10月に引き続き「気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(CSVサーベイ2022年11月)」を実施しました。
温室効果ガスを主原因とする気候変動問題は、全世界で早急に解決すべき課題であり、重要な社会課題として認識されています。
メンバーズは、2030年の目指す姿として「VISION2030」を掲げ、その中で「日本中のクリエイターの力で、気候変動・人口減少を中心とした社会課題解決へ貢献し、持続可能社会への変革をリードする」ことを宣言しています。企業や生活者の気候変動問題への意識を高め、事業活動およびマーケティング活動の脱炭素化を促進する一助となることを目指し、継続的に気候変動と購買行動に関する生活者の意識調査・発信をしています。
本調査は、前回に引き続き、調査・マーケティングの有識者である青木 茂樹教授(駒澤大学 経営学部 市場戦略学科)と江戸 克栄教授(県立広島大学大学院 経営管理研究科)の監修のもと実施しました。
気候変動への関心についての設問に対し、72.1%が「とても関心がある」もしくは「どちらかといえば関心がある」と回答。2015年の調査開始以降上昇傾向にあり、ついに7割を超える結果となりました。
一方、実際に過去半年以内の購入では、食品のカテゴリーにおいて4割強が「環境に配慮した食品を購入したことがある」と前回から増加が見られたものの、購入層の全カテゴリー平均が3割弱という結果については2017年度の調査以降変化が見られないことから、購買意向はあるものの実際の購入にはつながっていないという課題が浮き彫りになりました。
環境に配慮された商品の購買意向があるにもかかわらず、過去半年以内に購入しなかった理由としては、「どの商品が配慮されているかわかりくにかった」「どのように配慮されているかが不明瞭だった」が多くみられました。また、購入層27.5%のうち継続購買意向は96%と極めて高いことや、ファッション関連では購入層の4割が他社への推奨を実施しています。
これらの結果から、企業経営層やDX(※1)推進責任者は、気候変動対応をコストとしてではなく、環境配慮の商品・サービス開発、マーケティング戦略として実践することが重要であると言えます。
メンバーズは、これまでデジタルビジネス運用支援で培ってきたスキル、ノウハウをもとに、業務プロセスによるコスト削減、企業と顧客の関係性変革による顧客数・LTVの向上、ビジネスモデル変革による新しい企業価値創造の創出に貢献します。そして企業のDX支援を通じて、ビジネスモデル変革による持続可能なビジネス成長とデカップリングの実現、ひいては脱炭素社会の創造を目指します。
日本におけるSDGsの市民への浸透は一巡した感があるが、その課題の解決にはほど遠い。今回の調査で明らかになったのは、気候変動に配慮した商品の購買意向を7割以上の消費者が示しているのにも拘らず、3割未満しか購買経験が無いということだ。まさにニーズがありながらも具体策を提案できない企業努力の不足だと考えてみてはいかがだろうか。
私が現在、在外研究をしているデンマークでは、子供達を始めとした市民からの気候対策の要求に応え、政府は2030年までにCO2排出量を1990年の70%に削減することを2020年に宣言した。エネルギー会社のØrstedは石油・ガス事業を売却し、世界最大の風力発電へと展開した。まさに市民・政府・企業が一体となって脱炭素社会へと加速しており、2022年末より世界に先駆けてスーパーマーケットの食品にCO2排出量を表示し始めようとしている。
脱炭素のルールの変更に対し、欧米企業は様々なサステナビリティへのイノベーションやマーケティングをさらに発展させている。日本企業にもサーキュラーエコノミーを基軸としたビジネスモデルへの転換とその市場におけるリーダーシップを取る時がきていると言えよう。
日本では大雨や台風による水害や土砂災害が毎年のように起こっている。「観測史上最大...」という表現をよく耳にするようにもなった。これらの異常気象は地球温暖化による影響も少なくないことがマスコミでも多く報道されており、気候変動問題はますます生活者の関心事になってきている。このような中で、本調査が気候変動問題への生活者の関心、知識や実際の購買行動に関する定量的リサーチを時系列的に調査していることは非常に意味がある。気候変動そのものに対する関心、気候変動に配慮した商品への関心は年々増加傾向にあることがわかっており、これからも増えていくことであろう。
この調査から、7割強の生活者は気候変動に関心があり、6割強から8割弱は気候変動に配慮した商品を購買する意志があるにもかかわらず、気候変動に取り組んでいる企業についての認識が高くないことがわかっている。直接的に気候変動に寄与できていないので、大々的にマーケティング・コミュニケーションをとることができていない企業もあれば、なかなか認知されていない企業もあるだろう。ただ、サステナブルな社会に向けた機運は確実に高まってきている。気候変動に対する企業の取組そのものを含めて、見直す時期が来ているようである。
サステナブル・ブランド国際会議 アカデミック・プロデューサー
慶應義塾大学商学部卒業、慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。南カリフォルニア大学マーシャルスクールオブビジネスにて研究員。山梨学院大学現代ビジネス学部教授などを経て、2008年駒澤大学経営学部市場戦略学科教授。山梨県産業振興ビジョン策定委員会委員、山梨県新しい都市づくり委員会委員などを歴任。日本マーケティング学会 サステナブル・マーケティング研究会リーダーを務める。
慶應義塾大学商学部卒業、慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。文化女子大学(現文化学園大学)服装学部専任講師、准教授、教授を経て、2016年県立広島大学へ着任。2018年より県立広島大学大学院経営管理研究科ビジネスリーダーシップ専攻長を務める。平成30年西日本豪雨災害を契機に、防災マーケティングを提唱し、防災社会システムデザインプロジェクト研究センターを設立。
調査名:気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(CSVサーベイ2022年11月)
調査方法:Webアンケート調査
回答者:20代~60代の男女(調査会社パネル)
調査期間:2022年9月5日~9月8日
サンプル数:スクリーニング 9,993、本調査 1,000
調査アドバイザー:駒澤大学 経営学部 市場戦略学科 青木 茂樹教授
県立広島大学大学院 経営管理研究科(HBMS)江戸 克栄教授
企画:株式会社メンバーズ
メンバーズは、社会課題の解決とビジネス目標の達成を同時に実現させる「CSV(Creating Shared Value)」を行うために、企業内の意識改革、サーキュラーエコノミー型新ビジネスのアイデア創出・コンサルティングなど、幅広くご支援します。
https://www.members.co.jp/services/csv/
本調査結果(全回答レポート)はこちらよりダウンロードいただけます。
https://marke.members.co.jp/memberspaper85_csv.html
参考
気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(2021)
https://marke.members.co.jp/memberspaper78_csv202110.html
お問い合わせは下記フォームもしくはメールにてお願いいたします。