株式会社メンバーズ(本社:東京都中央区、代表取締役社長 剣持 忠、以下「メンバーズ」)は、2021年3月に引き続き(※1)4回目となる「気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(CSVサーベイ2021年10月)」を実施しました。
温室効果ガスを主原因とする気候変動問題は、全世界で早急に解決すべき課題であり、重要な社会課題と認識されています。日本政府は2020年10月に2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロ(以下、カーボンニュートラル)とする目標を掲げ(※2)、全ての事業者や国民は化石燃料に頼るビジネス・ライフスタイルから脱却し、脱炭素社会へと移行することが求められています。今後、脱炭素社会を実現するためには、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済モデルから、脱炭素社会に順応する新たなマーケティング活動や事業活動を基準とした持続可能な経済モデルへ転換することは必要不可欠です。
メンバーズは、2020年5月に発表したVISION2030にて「日本中のクリエイターの力で、気候変動・人口減少を中心とした社会課題解決へ貢献し、持続可能社会への変革をリードする」(※3)ことを掲げております。企業や生活者の気候変動問題への意識を高め、事業活動およびマーケティング活動の脱炭素化を促進する一助となることを目指し、継続的に気候変動と購買行動に関する生活者の意識調査・発信をしています。
4回目の調査となる今回は、調査・マーケティングの有識者である青木 茂樹教授(駒澤大学 経営学部 市場戦略学科)と江戸 克栄教授(県立広島大学大学院 経営管理研究科)の監修のもと、本調査を実施しました。
生活者が普段の購買行動で重視することは、「価格(85.3%)」や「機能性・利便性(77.4%)」「入手のしやすさ(77.7%)」が多くを占める一方、約7割は気候変動に配慮した商品を「価格が同程度、もしくは1割程度高くても購入したい」と回答、また購買経験のある生活者のうち9割は「継続して購入したい」と回答していることから、気候変動に配慮した商品の購入者は満足度が高いことが伺えます。
一方、実際に購買に至った購入者層は3割に留まり、企業の気候変動対策に関する情報発信に関する設問では6割が「わかりにくく伝わらない」と感じており、生活者は「テレビCM(56.1%)」「企業のWebサイト(37.7%)」「商品パッケージやサービスへの表示(34.2%)」「ソーシャルメディア(29.2%)」といった日常的に使用する媒体においても、企業が取り組む気候変動関連の情報発信を求めていることから、企業のマーケティング活動・コミュニケーションには課題があることが伺えます。
また、非購入者層は「従来の商品と比べて、機能や性能が同等、食品の場合は味が同等」「従来商品と比べて価格が安いか同等」といった条件があれば、関連商品を購入したいとの回答が多いことから、CO2排出量を減らしながらこれまでの価値基準を満たす商品・サービス提供を行い、分かりやすく具体的な情報発信を行うことで、更なる顧客開拓を行うことが期待できます。
これらの結果から、気候変動に対応した商品やサービス開発、マーケティング活動は企業・サービスの新たな付加価値として、ビジネス成果・マーケティング成果の創出に有効であると考えられます。企業経営者やDX(※4)推進責任者は、持続可能なビジネス成長を目的に「炭素生産性」指標(※5)を用いてDX推進によるビジネス変革を実現し、新たな付加価値をもったモノづくりやサービス提供を推進することが重要であると言えます。
今回の調査の意義は、サステナビリティの中でも重要な問題である脱炭素と消費者行動の関係について言及したことだ。世界の企業は急速にこのルールへと大きく舵を切っており、日本においても菅元総理の2050年までの脱炭素宣言により加速化することとなった。脱炭素はエネルギー問題だけではなく、食品ロスを減らしたり、野菜中心の食生活への切り替え、テレワークへの推進や断熱リフォームなど「食、移動、住居」と実はその裾野は広い。そこで今後の経年的調査により、消費者の脱炭素の意識が製品カテゴリーでどのように違っているのか。さらに企業はどんなメッセージをどのように伝えていけば良いのかを考える指標となっていくことだろう。
1992年リオ宣言以降、世界中で気候変動問題が広く議論されるようになり、現在ではサステナブルな環境にとって主要な関心領域となっている。日本でも、毎年のように異常気象による災害が頻繁に起こっており、気候変動問題は益々、生活者の大きな関心事になっている。このような中で、気候変動問題への生活者の関心、知識や実際の購買行動に関する定量的リサーチを実施したことはたいへん意義がある。特に生活者の購買行動や意識を商品カテゴリー(生活雑貨、食料品、家電、ファッション)に分けて調査をしたことは、企業のマーケティングやコミュニケーション活動に大いに役立つことであろう。今後も、このような調査を継続的に実施し、有益な知見を見出していくことが期待される。
メンバーズでは、「脱炭素DX」とは、企業がDXを通じて持続可能なビジネス成長と脱炭素社会創造を同時に実現することであると定義しています。企業が脱炭素時代において持続的な成長を実現するためには、業務効率化やコスト削減に加えて、製品・サービスの価値を再定義し、デジタル・テクノロジーを通じてビジネスモデルの転換を図り更なる新しい価値を創出する「DX」を推進することが必要であると考えています。当社は、企業のDX支援を通じて、ビジネスモデル変革による持続可能なビジネス成長とデカップリング実現、ひいては脱炭素社会の創造を目指しています。
<メンバーズが推進する脱炭素DXはこちら>
https://www.members.co.jp/why-dx/
脱炭素DXをテーマに、本調査のアドバイザーである駒澤大学の青木 茂樹教授を迎え、サーベイ結果を分析・解説するほか、環境経済学の専門家でありメンバーズのアドバイザーである京都大学大学院の諸富 徹教授、再生可能エネルギー事業などを行う株式会社UPDATER(旧:みんな電力株式会社)の三宅 成也 COO 専務取締役をゲストにウェビナーを開催します。
テーマ:「脱炭素DX」脱炭素と事業成長の両立を考える
日時:2021年11月4日(木)15:00~17:30(予定)
会場:オンライン形式(Zoom)
費用:無料
登壇ゲスト:京都大学大学院 経済学研究科 副研究科長 教授 諸富 徹氏
駒澤大学 経営学部 市場戦略学科 教授 青木 茂樹氏
株式会社UPDATER(旧:みんな電力株式会社)COO 専務取締役 三宅 成也氏 ほか
<セミナー詳細・お申込みはこちらから>
https://marke.members.co.jp/20211104.html
サステナブル・ブランド国際会議 アカデミック・プロデューサー
慶應義塾大学商学部卒業、慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。南カリフォルニア大学マーシャルスクールオブビジネスにて研究員。山梨学院大学現代ビジネス学部教授などを経て、2008年駒澤大学経営学部市場戦略学科教授。山梨県産業振興ビジョン策定委員会委員、山梨県新しい都市づくり委員会委員などを歴任。日本マーケティング学会サステナブル・マーケティング研究会リーダーを務める。
慶應義塾大学商学部卒業、慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。文化女子大学(現文化学園大学)服装学部専任講師、准教授、教授を経て、2016年県立広島大学へ着任。2018年より県立広島大学大学院経営管理研究科ビジネスリーダーシップ専攻長を務める。平成30年西日本豪雨災害を契機に、防災マーケティングを提唱し、防災社会システムデザインプロジェクト研究センターを設立。
調査名:気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(CSVサーベイ2021年10月)
対象条件:20代以上の男女
調査期間:2021年9月1日~9月3日
調査方法:Webアンケート調査
サンプル数:1,118
調査アドバイザー:駒澤大学 経営学部 市場戦略学科 青木 茂樹教授、県立広島大学大学院 経営管理研究科(HBMS)江戸 克栄教授
企画:株式会社メンバーズ EMCカンパニー
実査:株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニー
本調査結果(全回答レポート)はこちらよりダウンロードいただけます。
https://marke.members.co.jp/memberspaper78_csv202110.html
メンバーズでは、緊急事態でも安全を確保しながら業務を継続・遂行が可能な「新しい働き方」として、これまでの全員がオフィスに出社する働き方から、生活様式の変化に対応したオンライン中心の働き方に移行しております。このため大変ご不便をお掛けいたしますが、お問い合わせはメールにてお願いいたします。
株式会社メンバーズ EMCカンパニー 広報担当 江口